生命保険主要13グループの08年度上半期(4〜9月)業績報告(決算)が26日、出そろった。金融危機に伴う株価急落で、9月末時点の有価証券含み損益(傘下生保合算ベース)を合計した含み益の総額は前年同期より約10兆円少ない約5兆2000億円と大幅に減少した。米政府の公的管理に置かれた米AIG傘下のアリコジャパンと三井生命保険、アクサ生命保険は、経常赤字に転落した。
三井生命やアリコ、朝日生命保険などが有価証券の含み損を抱えた。有価証券含み益が急減した結果、財務の健全性を示すソルベンシーマージン比率は、13グループの傘下生保すべてで前年同期より低下した。日経平均株価は10月以降さらに下落しており、現在の比率は一段と悪化している可能性が高い。
本業のもうけを示す基礎利益は、市場の混乱に伴う配当収入の落ち込みなどが響き、9グループで減少。業界トップの日本生命保険が前年同期比11.8%減の2825億円に落ち込むなど8社が2ケタ減益になった。一般企業の売上高に当たる保険料等収入は、保険金不払い問題で大きく落ち込んだ前年の反動もあって、7グループで増加した。
アリコは、保有するAIG株式の評価損2235億円を計上した結果、2278億円の大幅な経常赤字を計上した。最終(当期)損益も1410億円の赤字。アリコが上半期業績の公表を始めた97年以来、赤字は初めて。三井生命は126億円の経常赤字、アクサは539億円の経常赤字だった。
これを受け、アリコは526億円、三井生命は500億円、朝日生命は350億円の資本(基金)増強を発表した。
抜粋 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081126-00000132-mai-bus_all
・コメント
生命保険会社は保険加入者から集めた保険金で運用しその利益を、会社の運営費に当てたり、加入者に還元したりしています。
資産運用方法は保険加入者を保護するため、保険業法と保険業法施行規則で細かく認められています。
生保会社の資産運用方法は・・・
@有価証券
A不動産
B金銭債権、短期社債
C金地金
D金銭の貸付
E有価証券の貸付、組合への出資
F預金・貯金
G金銭、金銭債権、有価証券、不動産の信託
H有価証券に関するデリバティブ取引、指数先物取引、オプション取引、外国市場証券先物取引
I金融先物取引
J金融等デリバティブ取引
K先物外国為替取引
金融危機で問題となったのがH、Jの金融派生商品と呼ばれるデリバティブ取引です。
現在の生保の資産構成比は有価証券6割強、貸付金が3割弱で、デリバティブ取引も増加傾向にありました。1980年度末の数値は貸付金6割、有価証券3割であったので、これが逆転しています。貸付金の減少は公社債や外国証券などに変わったのは、ゼロ金利政策が原因です。早期にバブル崩壊から立ち直るため、リスクは高いがハイリターンの外国証券で運用せざるを得なかったという現状があったと思います。
さらに資金の逃げ先となっている国債や社債などの利息収入も軒並み下がっています。金融市場の混乱からマネーが安全な国債に逃げ、金利が下がっているからです。さらに企業収益の悪化で株式の配当収入も減りますし、不動産も景気減速で賃貸収入の減少が見込まれます。
資金を回転させなければならない宿命の生命保険業界の収益スタイルは銀行や証券会社に近いものがあります。アリコは中国政府ファンドに買収される予定です。銀行の保険業承認による壁が取り払われて間もない今、まさに資本のある金融機関を主体として吸収合併が行われようとしています。
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・AIG、日本の生保3社売却の意向 複数スポンサーと交渉
米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は3日、経営再建策の一環で、日米など各国で展開する生命保険事業のアリコと、日本法人のAIGスター生命保険、AIGエジソン生命保険の3社を売却する意向があると発表した。中核事業の米損害保険と、米国外で展開する生損保事業の多くは継続保有する。航空機リース事業なども売却を検討しており、すでに複数のスポンサーと交渉を始めた。
米AIGは同日、いったんは米国外の生損保事業を継続保有すると発表した。しかしその後、日本法人が改めて報道発表文を出し、日本の生保3事業の売却意向を明らかにした。
AIGは米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の深刻化で経営危機に陥り、9月16日には米政府の公的支援で最大850億ドル(約9兆円)の融資を受けることが決まった。融資返済のため中核事業以外の売却を進める方針だ。
アリコは55カ国で展開する国際事業だが、日本での契約が7割を占める。各国のアリコ事業を一括売却するか、地域・国ごとに対応するかは不明だ。
スター生命とエジソン生命は来年1月に合併を予定しており、一括売却されるとみられる。アリコジャパンを含め3事業とも収益性の高い優良事業だが、AIGは早期健全化のため放出を余儀なくされた格好だ。
AIGは、3事業が売却されても個別の保険契約は継続され、顧客への影響はないと説明。日本で運営する損保3事業は売却の意図がないとしている。
・AIG、「スター」「エジソン」生保の売却検討
経営再建案の策定を進めている米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が日本資産売却の検討に入った。日本国内で生命保険事業を行っているAIGスター生命保険とAIGエジソン生命保険を中心に売却を検討する。AIGは28日にニューヨークで経営会議を開くなど議論を重ね、週後半に資産売却の候補リストを公表する。
スターとエジソンは来年1月の合併が決まっており、AIGは両社一括での売却を目指すとみられる。両社は経営の健全性を保っているが、AIG本体が米金融当局から最大9兆円の融資枠を設ける公的支援を受けたため、優良事業の売却で財務の早期改善を図る考え。売却額は数百億〜数千億円規模になる見通し。
売却先候補として、米メディアなどはカナダのマニュライフ、ドイツのアリアンツといった世界的な保険グループの名前を報じている。国内の生保業界関係者は、生保子会社を持つ国内損保大手も買収メリットが大きいと指摘する。
AIG傘下のアリコジャパンは、AIGの日本支店という形態をとっていて切り離しが困難なため売却対象から外れる見通し。
参考 ソルベンシーマージン(支払い余力)比率
保険会社の健全性を示す指標。株価暴落など不測の事態が起きた場合、保険金を支払う余力がどれだけあるかを示す。資産運用や保険金支払いに関するリスクを、自己資本や有価証券の含み益でどの程度カバーできるかを数値化したもので、200%を下回ると金融庁が早期是正措置を発動。抜本的な経営改善を迫られる。
タグ:生保


