麻生太郎(Taro Aso)首相は14日、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で開幕した緊急首脳会合(金融サミット)で、金融危機の影響を受けた新興国の支援を促進するため、国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)に最大1000億ドル(約9兆7000億円)を拠出することを正式表明した。
麻生太郎首相は国際通貨基金(IMF)の融資能力拡大に向けて最大1000億ドル(約10兆円)の資金支援の用意があることを表明。同提案に対し会合では他の首脳から「寛大な支援に感謝している」との発言を引き出した。数カ国は麻生首相に個別に近寄り日本の支援に「ありがとう」と声をかけていったという。
また、世界経済の減速阻止で各国が一致した景気刺激策の財政出動に関しても、日本がまとめた経済対策に対して「歓迎する」との評価を受けた。
中川昭一財務相・金融担当相はサミット後の記者会見で、成果文書に麻生首相の提言が反映されたことを受けて「日本が主導したと理解している」と今回の金融サミットで大きな役割を果たしたとの認識を明らかにした。
・コメント
今回、金融サミットで取り上げられると見られていた基軸通貨体制を巡る議論は正式議題とならず、首脳宣言でも触れられていません。
政府が言うには、ドル以外に基軸となり得る通貨がないということに加え、基軸通貨の見直しとなればドル暴落、世界経済の混乱につながるそうです。しかし、10兆円の資金支援は単なるドル追随を容認することであって日本にとって国益に適う有効な戦略とは到底思えません。周りの諸外国にいい顔するだけのパフォーマンスに思えて仕方ありません。お人よしにも限度があります。
ドル基軸通貨体制を堅持すべきとのドル救済策を打ち出した麻生首相の発言に、他の首脳から異論が出るはずがありません。本当は誰も救いたくないドルに多額の資金を出すといったのですから。サルコジ仏大統領は、「唯一の世界的通貨だったドルはもはや、その地位を主張できない」と述べています。
このままドルを維持し続けることが本当に国益に適うかどうか考えたのか不明です。前述しましたが、やはり円を世界通貨に押し上げていく必要があります。ドル、ユーロ、円を3本柱にしてバランスをとらないと為替リスクを分散できません。
永遠にアメリカ国債を裏付けとした、ドルを買い続けなければならないのです。全世界でアメリカドルを支えるシステムです。確かにドル安は一時的な痛みを伴います。しかし、いち早くこのドル一極集中の状況を打開しなければ、永遠に日本は国民の税金でドルを買い続けなければなりません。
今回の拠出によりドルは一時的に強くなると思います。ここで、保有している米国債を徐々に円建てに置き換えていくべきです。世界各地で円建て債券が発行されれば円の世界的な拡散が可能です。
新興国もリスク分散のため円やユーロ建てで取引したいはずです。首脳が米国主導の国際金融体制を公然と批判しています。米国への不満を持ちながら表に出すことが少なかった欧州勢も、サルコジ仏大統領を筆頭に「米国流」の修正を要求しています。いまこそ、打って出るべきです。米国を軸に回ってきた世界経済の秩序は金融危機で大きな転機を迎えています。
参考 IMF(International Monetary Fund)WIKI
通貨と為替相場の安定化を目的とした国際連合の専門機関。本部は米国のワシントンD.C.。2007年1月現在の加盟国は185。為替相場の安定を図ることなどを目的に1944年7月アメリカ合衆国ニューハンプシャー州のブレトンウッズで開かれた国際連合の「金融・財政会議」のブレトン・ウッズ協定によって、戦後復興策の一環として国際復興開発銀行と共に1946年3月に29ヶ国で創設された。
1947年IMF協定が発効し実際の業務を開始し、国際連合と協定を結び国連の専門機関となった。世界銀行と共に、国際金融秩序の根幹を成す。創設にあたってイギリスの経済学者ケインズとアメリカの政治家ハリー・ホワイトが大きく関わり、ケインズはIMF総裁の地位に就いた。
為替相場の安定のために、国際収支が悪化した国への融資や、為替相場と各国の為替政策の監視などを行っている。各国の中央銀行の取りまとめ役のような役割を負う。かつては融資を行う際に、内政不干渉の原則を守り、特に条件をつけることはなかったが、成果があがらない国も多かった。このため、1979年以降、「融資の効果を阻害するような政治状態の国」には、「政策改善」を条件にした(コンディショナリティ (Conditionality) )融資を行うようになった。この際に、対象国に課せられる要求のことを「構造調整計画 (SAP) (Structural adjustment) 」と呼ぶ。このIMFの構造調整プログラムにより、アフリカや南米、アジアなどの発展途上国では、様々な経済問題(失業など)が発生し、社会が混乱に陥った。また、サーベイランス活動の一環として、通常年2回(春・秋)の国際通貨金融委員会(IMFC)の直前に「世界経済見通し(WEO)」と「国際金融安定化報告書(GFSR)」を公表している。

