抜粋 PCAASEET
米ワシントンで14、15日に開かれる緊急金融サミットで、金融危機を招いた要因の一つと指摘されている格付け会社に対する規制強化で合意する見通しになった。国際金融筋が8日、明らかにした。
サミットでは、金融機関の国際的な監督体制の強化も議題として挙がっている。新たな機関設立や国際通貨基金(IMF)に金融監督・調整機能を持たせる案に加え、主要国の金融監督当局などで構成する金融安定化フォーラム(FSF)とIMFを統合させる案も出ている。
今回の金融危機の発端になったのは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連の証券化商品。
米国の住宅バブル崩壊でこうした証券化商品の価格が急落し、この商品を保有している金融機関の財務内容を急速に悪化させた。
格付け会社は、この証券化商品の信頼性を第三者として評価する役割を担っている。しかし、暴落した金融商品のほとんどが高い格付けを得ていたため、「金融機関との癒着が見られる」「格付けビジネスは利益相反になる」などの問題点が指摘されている。
金融サミットでは、格付け会社の国際的な規制基準の明確化とともに、監督体制の強化などを打ち出す方向だ。
欧州はすでに今年7月、格付け会社の登録制度導入を決定し、具体策を検討中だ。日本も同様の規制制度を設ける方針で、米は既存制度の強化を進めている。サミットでこうした各国の対応を統一し、金融市場の安定化をめざすものとみられる。国際金融筋は「格付け会社は国際的な活動のため各国協調が重要」と強調している。
IMFに関しては欧州が権限強化を主張し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)財務相会議が6日採択した共同声明で「IMFが重要な役割を果たすことを支持」としており、機能強化に向けた改革議論が注目される。
サミットには、G8(主要8カ国)に加え中国やインドなど計20カ国・地域の首脳が集まる。
抜粋 産経新聞
・コメント
株式や債券を購入する投資家のうち多くは会計の専門家ではありませんから、会計情報を提供されても、その情報を判断する能力がないと思います。
そこで、登場するのが格付け制度です。専門家が企業の経営状態を分析し、債務返済能力を簡単な記号で表示するというものです。会社名は、よく耳にしますよね。ムーディーズやスタンダード アンド プアーズ、日本公社債研究所、日本格付研究所、格付投資情報センターがあります。
債券を買う投資家が格付けを参考にして債券を買うか買わないかをきめるので,債券を発行して資金調達を行おうとする企業は、格付けをしてもらいます。格付け会社は、こういった企業から格付け料をもらいます。ちょっと怪しいと思いませんか。
意味を勘違いしている人が多いと思います。この格付けは「債務の元利金の返済能力」を示しているに過ぎません。高い格付けの企業=優良企業ではないのです。資金の内部留保が多い企業なのです。
投資会社を立ち上げ、全額国債で運用すれば高い格付けの会社になります。この会社は成長性がありませんから、こんな会社の株を買おうという人はいないと思います。
格付けは多くの投資家の参考になっていることには変わりありません。そして、格付け判断は社会的責任を負っているといえなくもありません。
しかし、投資判断は最終的には自分で行うべきです。素人だからといって他人に判断を委ねてはいけません。様々な情報を分析できるように、自分の目を磨いていきましょう。
参考 格付け WIKI
社債などの債券を発行する企業などの信用力を、分かりやすい記号で表示することをいう。ムーディーズ社、スタンダード&プアーズ社などの「格付け機関」の格付けは投資家に大きな影響を与える。
債券などの元本および利息を、発行体(企業、政府、自治体など)が償還まで予定通り支払えるかどうかの見通しを、簡単な記号で評価する機関。格付け会社と言う。
格付け機関は、発行体からの依頼により、経営陣とのミーティング、財務分析、業界分析などを行い、その発行体の信用度をある一定の基準に基づいて、「Aaa」「AAA」などの記号で評価する。この「Aaa」「AAA」などと付けられた評価を信用格付けという。この格付けは公表され、投資家が債券などへの投資を行なう際の参考データとなるほか、株価にも影響を与えることがある。
近年では、個々の債券のみならず債券の発行体(企業)自体も評価している。大学や株式、プロジェクト・ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス等も格付け機関による信用格付けの対象範囲となっている。
信用格付けは将来についての評価であるため、必然的に主観的な評価となる。格付け機関はできるだけ公平・中立な評価を行なうため、複数のアナリストの意見をもとに信用格付けを行うが、主観的な評価となることは避けられない。
格付け機関のポリシー、見解の相違、方法論は微妙に異なるため、同じ発行体への評価でも格付け機関によって信用格付けが異なることがある。信用格付け自体は公共性を有しているが、信用格付けはあくまで「格付け機関の意見」であり、投資情報の一つとして位置づけられるものである。また、低い信用格付けをつけられた発行体から反論が行なわれることがある。
発行体の宣伝活動やディスクローズ誌で、高格付けを対外的にアピールする企業は多いが、個々の債権に対する信用格付けはあくまで「債務の履行能力」を評価しており、当該企業に対する総合的な評価や成長性を示したものではないことにも注意する必要がある。
2007年から表面化したサブプライムローン問題に端を発する世界的な金融危機では、その格付内容が問題視されている。サブプライムローン等の本来は最低の格付であるはずのローンであっても、証券化商品組み入れの過程で他のローンと組み合わされると、一度に破綻する事はなくリスクが低下したと見なされて、証券としては上位の格付が付いてしまう事が多く、結果的に本来のリスクが見えにくくなってしまっている。このため市場関係者の疑心暗鬼を招来し、信用収縮に拍車を掛ける要因の一つとなってしまっている。
長期格付けの例。機関によって表現が異なる。
ムーディーズの場合
* Aaa - 最高位
* Aa
* A - 投資適格程度
* Baa - 中程度のリスク
* Ba - 投機的要素あり
他社の場合
* AAA - 最高位
* AA
* A - 投資適格程度
* BBB - 中程度のリスク
* BB - 投機的要素あり
現在の指定格付機関
* 格付投資情報センター
* 日本格付研究所
* ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク
* スタンダード・アンド・プアーズ・レーティングズ・サービシズ
* フィッチレーティングスリミテッド
・IMFに金融監督・調整機能を=当局間の連携強化も−金融サミットで日本提案へ 時事通信
米国ワシントンで15日に開かれる緊急金融サミット(首脳会合)で、日本政府は7日、国際通貨基金(IMF)に金融監督・調整機能を持たせることを提案する方向で調整に入った。世界的危機克服と再発防止に向け、国際的な金融機関の強化策が金融サミットの主要議題となる見通しで、欧州連合(EU)もIMFや監督当局間機構の改革を提示する方針だ。議論次第では、為替調整や国際収支が悪化した国への融資を主要業務とするIMFの権限拡大につながる可能性がある。
日本は多国間の金融監督のあり方に関し、IMF活用を軸に検討。具体的には、IMFに対する金融監督・調整機能の付与や、現在は主要7カ国(G7)傘下の当局間機構「金融安定化フォーラム」(FSF)との連携強化を模索しており、麻生太郎首相による提案の中核としたい考えだ。
・「格付け会社に責任の一端」 ジャンク債の帝王、ミルケン氏 フジサンケイビジネスアイ
かつてジャンク債(焦げ付きリスクの高い高利回り債券)の帝王として名をはせたマイケル・ミルケン氏は、信用収縮のきっかけとなった、少ない元手資金で多額の取引を行うレバレッジを高めた取引が拡大した責任の一端が格付け各社にある、との見方を示した。
ミルケン氏によると、2007年に格付け付きで発行された債券の半数以上は、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)などの格付け会社から最上位のトリプルA(AAA)を付与された。
ミルケン同氏は「数千の金融商品に」付与されたAAA格付けが、「本当はAAA格付けになるはずがなかった。だからこそ、レバレッジの上昇を容認したのは格付けであり、人々は自分で与信審査を行わずに格付けの上にあぐらをかいてしまった」と語った。
サブプライムローンやその他信用度の低い債務が証券化によって、高いリターン(投資収益)を備えた新たな証券として組成された。ただ、それらは同じ格付けの投資案件に比べてリスクは多様化していた。結果的には、そうした高格付けの商品が世界中の金融機関に昨年の年初来6800億ドル(約67兆円)以上の損失をもたらした。
ミルケン氏によれば、AAA格付けの企業は米国には6社しかない。米マイクロソフトはまだ債券を販売したことがないが、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスとS&Pはともに、先月、同社に対して最上位格付けを付与した。
ミルケン氏は1980年代にジャンク債でLBO(レバレッジド・バイ・アウト=企業買収の手法で、買収先企業の資産を担保に買収資金を調達する方法)による資金調達を確立した立役者であり、その手法は後に同年代の巨大合併の流れに勢いをつけた。1990年に破産法の適用を申請した米証券大手のドレクセル・バーナム・ランバートでジャンク債の責任者を務めていた。
その後、ウォール街でのインサイダー取引に関する取り調べを受けた結果、6件の違反について罪を認め、SEC(米証券取引委員会)から証券業務への一切の関与を禁じられた。ミルケン氏は禁固10年の判決を受けて収監されたが、司法取引で連邦捜査官への協力に合意した後、刑期を2年に減刑され、93年に釈放された。
現在は、カリフォルニア州サンタ・モニカに拠点を構えるミルケン研究所を運営。人気テレビ番組では、2006年のノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行で総裁を務めるムハマド・ユヌス氏とともに、医療・教育事業への投資の必要性などを訴えた。


今回の金融危機で、国際金融市場にグローバル・ガバナンスの考え方が一気に導入される機運が高まってきたように見受けられます。今後のなりゆきを注視したいと思います。