麻生内閣が支持率低迷を打破するための目玉にしている2兆円規模の家計支援策。すったもんだの末、税金を納めていない人も含めて一律に給付金としてバラまく「定額給付金」を支給することになった。今回ボツになった定額減税では、標準的なサラリーマン世帯(夫婦、子供2人)で6万5000円をもらえるはずだったが、定額給付金では1世帯あたり3万8000円。専門家の間には「こんな規模じゃ物足りない」との声が根強い。
政府・与党が30日にも取りまとめる予定の追加経済対策。目玉の家計支援策は当初、解散・総選挙に向けた人気取りのためのバラマキだとの声もあったが、肝心の選挙は経済情勢の悪化もあって、年内実施が見送られそうな雰囲気。だからといって手を抜くわけにもいかず、どんな内容のものができ上がってくるのか注目されていた。
公明党は当初、納税者を対象に所得税と住民税から一定の額を差し引く「定額減税」の実施を主張。これは1998年の橋本龍太郎内閣(当時)のもと、2兆円規模でそれぞれ2度実施されたことがある。
ただ、納税者だけを対象にするため、税金を納めていない低所得者(夫婦・子供2人の世帯で、所得税は年収325万円以下、個人住民税は270万円以下だと税金がかからない)への効果が薄い。
加えて税法改正が必要なうえ、事務作業も煩雑で、年度内に迅速実施するには不向きだった。
自民党は今月28日、税金を納めていない人も含めて一律に現金か金券を給付する「定額給付金」の実施を公明党に提案した。手続きが簡単で、減税より迅速な対応が可能となる一方、対象が広がるため、減税よりも財政出動の規模が膨らむ可能性もある。
規模については、公明党が2兆円超を主張しているのに対し、自民党は2兆円規模としている。
サラリーマンにとって最大の関心は、いくらぐらいもらえるのかということ。定額給付金と定額減税の比較は表の通り。
定額給付金では、総額を2兆円と仮定して、全国の世帯数5232万世帯(2008年3月末時点)で割ると、単純計算で1世帯あたり約3万8000円となる。
一方、定額減税はサラリーマンの標準的な4人家族(夫婦、子供2人)で、計6万5000円程度、単身者では同2万6000円程度になる計算だ。
給与水準が低迷するサラリーマンにとって、もらえるものはなんでももらいたいのが本音だが、それにしてもこの規模や効果をどうみればいいのか。金融理論が専門の明治大政経学部教授、高木勝氏は「いまいち」と渋い。
「経済の先行きが混沌とし、不透明感が広がる状況では、いくらかの減税があっても、消費には回りづらい。将来何があるか分からないから、とりあえず貯めておこうという心理になる。私は減税分のうち、消費に回るのは4割程度で、残りの6割程度は貯蓄されるとみる。減税規模を2兆円とするなら、景気対策の効果は8000億円程度にとどまるでしょう」
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「定額減税は過去に2度行われましたが、記憶に残らないような実感のわかない対策だった。庶民に大きな期待を抱かせる減税でないと、景気回復には結びつきません。選挙前の単なる税金のバラマキと言われても仕方がないでしょう」と切って捨てる。
第一生命経済研究所の主任エコノミスト、永濱利廣氏は経済効果について「2兆円規模の減税を基に実質GDP(国内総生産)成長率の押し上げ幅を計算すると、年0.2%程度」と分析する。
例は違うが、99年に景気対策として実施された6200億円規模の地域振興券(市区町村が発行。国民1人当たり2万円)では、地域振興券の使用により、一時的に余った現金が貯蓄に回り、約3分の1の2000億円規模しか消費押し上げ効果がなかったことが反省材料になった。
人気が低迷する麻生内閣が力を込める家計支援策。高木、荻原両氏とも「やらないよりはましでしょうけど…」程度の評価だ。
日本経済に暗雲が漂うなか、家計支援策で輝きを取り戻したい麻生内閣だが、規模などでケチケチしていると、庶民の気持ちが分からない首相のレッテルを張られかねない。
抜粋 MSNSANKEINEWS
・コメント
株価下落とともに、消費が落ち込み、雇用状況も悪化する中、政府と与党が総額2兆円の現金かクーポン券を各世帯に配る給付金方式の「定額減税」で合意しました。また、日銀も、円独歩高の流れを食い止めるために、政策金利を引き下げる検討に入りました。
現在予定されている経済対策を少しまとめてみました。
・給付金
現金やクーポンなどを市町村窓口で支給する「給付金方式」で合意。最近の円高で輸入品目が安くなっており、本当に給付が意味を成すのかが問題です。明らかな選挙目当ての“ばらまき”です。地方自治体なども事務手続きが過重となることは必至です。
・住宅ローン減税
現行の住宅ローン減税は、所得税から差し引ける最大控除額が10年または15年で合計 160万円で、今年末に期限が切れます。追加経済対策では低迷する住宅建設をてこ入れするため、控除額を大幅に拡大して延長。耐久年数の長い住宅についてはこれまで過去最高だった 587万5000円を上回る 600万円規模の減税とする案を軸に検討中です。
これも、選挙対策です。宣伝効果が期待できるためとしか思えません。景気低迷時に住宅を買おうと思う人などおらず、現在のローンの支払いに困る人たちは、選挙で投票するからです。
・日銀利下げ
日銀が利下げも視野に入れるのは、欧米との金利差縮小で安全な円がいっそう好感され、円高が進行するのを阻止する狙いがあります。ただ、すでにゼロ政策金利政策をとっている日銀にとって、利下げが可能な幅や回数の余地は少なく効果はほとんど無いと思います。
さらに日銀は独自施策として、金融機関が日銀に預けている当座預金に利子を付ける方針です。金融機関同士が資金をやり取りする短期金融市場で金利が下がり過ぎて、資金の出し手がいなくなるのを防ぐのが狙いです。この利子は誰が払うのでしょうか。国庫負担つまり私達です。
2兆円定額減税は「給付金方式」 経済効果「?」 ばらまき批判も… MSNSANKEINEWS
政府・与党は29日、追加経済対策(生活対策)をめぐって最終調整し、目玉となる「定額減税」について総額2兆円の現金かクーポン券を各世帯に配る給付金方式とすることで合意した。また、住宅ローン減税を過去最大の 600万円規模に拡充するなど詰めの検討を行った。これを受けて麻生太郎首相(68)は29日、追加経済対策の一部を前倒して年度内実施するため、2008年度第2次補正予算案を今国会に提出し、成立を期す方針を固めた。30日の記者会見で表明する。提出時期は早くても11月後半になる見通しで、11月30日までの国会会期は延長される方向だ。
追加経済対策ではほかに、証券優遇税制の延長、中小企業の資金繰り支援などを盛り込み、30日に決定。米国発の金融危機が深刻化し、世界的に景気後退懸念が強まる中、家計支援、金融安定、地方活性化などを狙う。国の財政支出は5兆円規模に膨らむ見通しだ。
定額減税は8月に決まった総合経済対策で年度内実施が明記されたが、減税方式だと低所得の若年層などを対象にしにくく、実施も遅れるため、市町村窓口で給付金を支給することにした。詳しい実施方式などは今後詰める。
今年末で期限切れの証券優遇税制は2〜3年延長する方向で調整していたが、与党内には5五年延長を求める意見があり、調整中。中小企業の資金繰り支援は、2008年度補正予算の約4000億円を上回る規模とすることで大筋合意した。さらに(1)自治体が自由に使える臨時交付金の支給(2)高速道路料金の引き下げ(3)雇用保険料の引き下げ−なども打ち出す。
一方、日銀は29日、円高が進行し景気の悪化懸念が強まっていることから、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を引き下げる検討に入った。ただ、金利を据え置いたままで大量の資金を金融機関に供給する事実上の量的緩和の方が効果があるとの意見もあり、31日の金融政策決定会合に向け金融緩和の手法を調整する。
利下げする場合は、現在0・5%の政策金利を最大0・25%引き下げることを想定しているもようで、量的緩和政策で金利をゼロに誘導した2001年3月以来の利下げとなる。
・高速道路、休日1000円乗り放題 政府・与党の追加経済対策 MSNSANKEINEWS
政府・与党は追加経済対策の一環として、東京、大阪の大都市圏を除き、高速道路料金について土日祝日は原則として1000円で乗り放題にし、平日は3割引きを打ち出す。1000円以下の短距離は対象外。首都高速と阪神高速も休日に一定の割引をし、東京湾アクアラインも1000円にする。高速道路料金について大きく踏み込んだのは、「(経済対策は)パンチのあるものにしないといけない」という首相指示を受けたものだ。
今回の措置は、いずれも自動料金収受システム(ETC)の利用が条件。金子一義国交相は29日、「予算案が国会を通過後、2年間実施したい。5000億円が必要で財源は財務省と調整している」と述べ、必要額を第2次補正予算案に盛り込む方針を示した。
値下げされるのは、東日本、中日本、西日本、本四高速会社の営業エリアのうち、東京、大阪圏以外。休日は普通車と軽自動車が対象で、上限は原則1000円だが、一部地域では1500円程度になる。平日は全車種で3割程度引き下げ、深夜の5割引など既存の割引は継続する。
アクアラインの通行料金は、休日に普通車(現行3000円)と軽自動車(同2400円)を一律1000円に引き下げる。
このほか、一般財源化が決まっている道路特定財源のうち、1兆円を地方活性化のために創設する交付金に充て、平成20年度中に6000億円を先行投入することを決めた。このうち3000億円は政府系金融機関「公営企業金融公庫」の機能を受け継いだ「地方公営企業等金融機構」の準備金から充てる。
一方、現行の住宅ローン減税は所得税から差し引ける最大控除額が計160万円で今年末で切れるが、低迷する住宅建設をてこ入れするため、控除額を大幅拡大し延長。耐久年数の長い住宅は、過去最高だった587万5000円を上回る減税規模にする方向だ。

